「骨が少ないのでインプラントは無理です」と、以前に他院で説明を受けたことはないでしょうか。レントゲンだけを見てそう告げられ、治療をあきらめてしまった方も少なくありません。しかし骨の量が足りないことは、インプラント治療そのものを諦める理由には必ずしもなりません。骨を増やす「骨造成」という選択肢を含めて、CTによる精密な診断結果とともに一つずつ整理していきます。
歯を失った部位は骨が痩せやすく骨造成が必要になります

歯を支えていた顎の骨(歯槽骨)は、歯を失うと噛む力の刺激が伝わらなくなり、時間の経過とともに幅や高さが減っていきます。インプラントは骨に直接埋め込む治療のため、埋入に必要な骨の厚みや高さが不足していると、骨造成によって土台を整える必要が出てきます。
歯周病による骨吸収は自然には元に戻りにくい
歯周病が進行すると歯を支える骨が破壊されていきますが、一度失われた骨は自然に回復するわけではありません。e-ヘルスネットの解説では、歯周外科の処置により症例によってはある程度歯槽骨や歯ぐきを増やすことができる場合があるとされ、歯周組織再生療法として位置づけられています[1]。歯周病の既往がある方は、抜歯後の骨の残り方に個人差が出やすい点を踏まえて診断を受けることが大切です。
抜歯後に長期間放置すると骨の幅が減っていく
抜歯した部位をそのままにしておくと、骨に刺激が伝わらなくなり、幅や高さが徐々に痩せていきます。特に前歯や奥歯を長期間欠損したまま過ごしていた方は、インプラントを検討し始めてからCT撮影で骨の状態を確認して、想定より骨が少ないことに気づくケースもあります。
上顎の奥歯は骨の高さがもともと少ない傾向にある
上顎の奥歯は、鼻の奥にある上顎洞という空洞が近くにあるため、もともと骨の高さに余裕が少ない部位です。この部位にインプラントを希望される場合は、骨造成を検討する頻度が他の部位より高くなります。
骨が少なくてもGBRなどの骨造成で対応できる場合があります

骨の量が足りないと診断された場合でも、インプラントができないと即断する必要はありません。骨造成にはGBR・サイナスリフト・ソケットリフトなど複数の方法があり、骨が不足している部位や量に応じて選択します。日本口腔インプラント学会は専門医制度や治療指針を通じて、口腔インプラント治療指針2024など出版物を公開しています[2]。
骨造成には方法ごとに向き不向きがある
| 方法 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| GBR(骨再生誘導法) | 骨の幅・高さが部分的に不足 | 人工骨と特殊な膜で骨の再生を促す |
| ソケットリフト | 上顎奥歯で骨の高さがやや不足 | 上顎洞の底を押し上げて骨の高さを確保 |
| サイナスリフト | 上顎奥歯で骨の高さが大きく不足 | 上顎洞へ骨を補い、より広い範囲に対応できる |
骨の吸収量が大きいと二回法になることがある
骨の欠損が大きい場合は、骨造成とインプラント埋入を同時に行わず、まず骨を作ってから一定期間置いて埋入する「二回法」を選ぶことがあります。手術の具体的な流れはインプラント手術の流れって複雑?専門医が分かりやすく手順を紹介でも解説しています。
骨造成の適応は専門医による画像診断で判断する
骨造成が必要かどうか、どの方法が適しているかは、CTによる立体的な骨評価をもとに専門医が判断します。当院では日本口腔インプラント学会専門医が診断を担当し、オステム・カムログ・ノーベルバイオケアといった複数メーカーのインプラント体を症例に応じて使い分けています。
当院はCTで骨の厚みを立体的に把握し治療計画を立てます

平面のレントゲンだけでは、骨の幅や高さを正確に測ることは難しく、実際に手術を始めてから骨が足りないと分かることもあります。当院ではシロナ社製の高精度CTとセファロを導入し、3D画像で骨の厚み・高さ・密度を確認したうえで治療計画を立てています。
断面画像で骨の幅と神経の位置を同時に確認する
CTのデータは断面ごとに骨の厚みを確認できるだけでなく、下顎の神経や上顎洞の位置関係も同時に把握できます。骨造成が必要な範囲をあらかじめ把握しておくことで、手術当日の判断に迷いが生じにくくなります。
マイクロスコープと院内ラボで精密な治療を支える
当院では全チェアにマイクロスコープを設置し、肉眼の約20倍まで拡大した視野で処置を行っています。またCAD/CAM専用ラボとミリングマシンを院内に備え、骨造成後の補綴物もスピーディーかつ精密に製作できる体制を整えています。安全性への取り組みについてはインプラント治療の安全性は大丈夫?CT診断と精密治療への取り組みで詳しく紹介しています。
痛みへの配慮も治療計画の一部として説明する
骨造成を伴う手術は、切開や縫合が必要になるため不安を感じる方も多くいらっしゃいます。表面麻酔や細い針の使用、丁寧な声かけなど、痛みに配慮した進め方を事前にご説明したうえで手術に進みます。
骨造成を追加すると費用は数万円〜、期間は数か月延びます
骨造成が必要になると、通常のインプラント治療に比べて費用と治療期間のいずれも増える傾向があります。増える範囲は骨の不足量や部位によって異なるため、CT診断の結果を踏まえた見積もりが欠かせません。
費用は骨造成の方法と範囲で変わる
当院のインプラント費用は1本550,000円(税込)が目安ですが、骨造成を追加する場合はこれに加えて材料費・手術費が別途かかります。詳しい内訳はインプラント治療はいくらかかる?費用の内訳と支払い方法を解説をご覧ください。当院では現金・クレジットカードのほか、デンタルローンによる分割払いにも対応しています。
期間は骨の再生を待つ分だけ延びやすい
骨造成を行った場合、骨がある程度できあがるまで数か月ほど期間を置いてからインプラントを埋入することがあります。通院回数や全体のスケジュールの目安はインプラント治療にはどのくらい期間がかかる?通院回数の目安で紹介していますので、ご自身の状況と合わせて確認してみてください。
保証制度で治療後の安心も確保する
当院ではインプラント体10年、被せ物5年の保証制度を設けています(定期的なメンテナンス通院が条件です)。骨造成を伴う治療でも、埋入後のメンテナンス体制まで含めて計画をご説明します。
まとめ
- 歯を失った部位や歯周病で骨を失った部位は骨が痩せやすく、インプラントに必要な骨の幅・高さが不足すると骨造成が検討されます
- 骨が少ないと言われても、GBR・サイナスリフト・ソケットリフトなど方法を選ぶことでインプラントを検討できる場合があります
- 当院ではシロナ社製CTとセファロによる3D画像診断で骨の状態を立体的に把握し、専門医が治療計画を立てています
- 骨造成を追加すると費用・期間はいずれも増える傾向があり、当院ではデンタルローンなど支払い方法も含めて事前にご案内しています
- インプラント体10年・被せ物5年の保証制度により、治療後のメンテナンスまで見据えた計画が可能です
骨の状態が心配な方は、まずCT診断で骨造成の必要性を確認するところから始めましょう。プライム総合歯科クリニック(香川県高松市多肥上町字松林1292-1、電話087-813-8955)では、日本口腔インプラント学会専門医が骨の状態を丁寧に確認し、治療計画をご説明します。土曜診療も行っておりますので、初めての方へ(初診の流れ)から予約方法をご確認ください。
参考文献
[1] e-ヘルスネット(厚生労働省)「歯周病の予防と治療」kennet.mhlw.go.jp
[2] 日本口腔インプラント学会「出版物(治療指針・用語集 他)」shika-implant.org